池袋サンシャイン劇場にて三島由紀夫原作「命売ります」観劇
池袋サンシャイン劇場にて三島由紀夫原作「命売ります」観劇
お笑い 女性 マジシャン の荒木巴です。
池袋サンシャイン劇場へ。
三島由紀夫さん原作の舞台「命売ります」を観に行ってまいりました。
三島由紀夫さん脚本の舞台は美輪明宏さん主役の「黒蜥蜴」以来2回目。(黒蜥蜴の原作は江戸川乱歩)
黒蜥蜴は大阪芸大の時に戯曲研究で勉強させていただき、三島さんが美輪さんとのキスシーンをしたいばかりに出演した映画映像も拝見しました。映画も舞台も面白かったのですが、やはり戯曲で読む世界がとても美しく、ト書きから想像する緞帳が上がる様子までもが妖艶だったのが印象的でした。
今回拝見した舞台は原作が三島由紀夫さん。
「命売ります」は、1968年に「週刊プレイボーイ」に連載された作品。1998年の文庫版刊行以来、累計発行部数29万部を超え、その中の25万部は2015年7月以降の重版という今もなお人気のある小説。
今回の公演ではノゾエ征爾さんが脚本と演出をされています。
池袋サンシャイン劇場「命売ります」概要
※オフィシャルHPより引用
三島由紀夫の極上エンターテイメント小説を舞台化。
スリリングで寓意性に満ちたハードボイルド・エンターテイメント!
死と生の狭間に揺れる人間を、切実に、そしてユーモラスに描いた傑作!……ある日ふと「死のう」と思い立った羽仁男は
「命売ります」という広告を出す。
すると訳ありげな怪しい男女がつぎつぎに現れて……原作 三島由紀夫
1925‐1970年。東京・四谷生まれ。本名平岡公威。学習院中等科在学中、三島由紀夫のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以降『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々と話題作を発表。たえずジャーナリズムの渦中にあった。戯曲には『鹿鳴館』『近代能楽集』『サド侯爵夫人』などがある。晩年は政治的な傾向を強め、民兵組織「楯の会」を結成。1970年に市ヶ谷駐屯地で割腹自殺を遂げる。その生涯は国内の政治運動や文学界に大きな影響を与えた。
脚本・演出 ノゾエ征爾
1975年生まれ。脚本家、演出家、俳優。劇団はえぎわ主宰。青山学院大学在学中の1999年に「はえぎわ」を始動。以降、全作品の作・演出を手掛ける。2012年、はえぎわ第23回公演「○○トアル風景」にて、第56回岸田國士戯曲賞受賞。映画やドラマへ俳優として出演するほか、外部公演にも脚本家、演出家、俳優として多数参加。近年の主な公演に、「ニンゲン御破算」(2018シアターコクーン松尾スズキ演出作品、出演)、オールナイトニッポン50周年記念舞台「太陽のかわりに音楽を。」(2017博品館劇場、演出)、音楽劇「気づかいルーシー」(2017東京芸術劇場、脚本・演出 ・出演)、1万人のゴールドシアター2016「金色交響曲~わたしのゆめ、きみのゆめ~」(2016さいたまスーパーアリーナ、脚本・演出)、PARCOプロデュース「ボクの穴、彼の穴。」(2016パルコ劇場、翻案・脚本・演出)など。9月29日から彩の国さいたま芸術劇場にてゴールド・アーツ・クラブ第1回公演「病は気から」の脚本・演出を行う。
あらすじ
ある日ふと「死のう」と思い立った羽仁男(はにお)は服薬自殺を図るも未遂に終わる。その日から、新聞広告を出し、「命売ります」の商売を始める。一度失敗した自殺を繰り返すのは億劫だった。誰かにあまり深い意味もなく、あっさり殺されたかった。
さっそく謎の老人から、ある人物の愛人になっている若く美しい妻るり子を殺してほしいという依頼が入る。指示どおりに行動すれば、羽仁男はきっと妻と共に、その人物に殺されるだろうというのである。そして望みどおり迎える絶体絶命のピンチ!浮気現場を目撃されたにも関わらず、羽仁男はなぜか無事に帰される。
その後も、図書館の貸し出し係の女、吸血鬼の母と息子、貸間の女と、個性的な女達が、次々に命の買い手として現れる。そのたびに「今度こそ死ぬ」と期待するのだが、やはり自分だけは生き残ってしまう…
これは偶然なのか?誰かが仕組んだことなのか?女たちに加え、謎の外国人、秘密組織など、全く別々の案件だと思っていた羽仁男を取り巻く人物が、やがてひとつの線で繋がっていく…。出演者
東啓介 上村海成 馬渕英里何 莉奈 樹里咲穂 家納ジュンコ 市川しんぺー 平田敦子 川上友里 町田水城 ノゾエ征爾 不破万作 温水洋一
現在では不適切と思われる台詞や言葉についても原作が執筆された時代背景と作品の価値を鑑みて、そのまま使用している箇所がありますという説明文が客席の出入り口に貼ってありました。
11月24日初日の舞台で観劇したのは公演後半の時期。この簡易的に印刷された張り紙から途中でクレームでも入ったのかな?なんて勘ぐってしまいますね。笑
以前はTVなどの家庭に流れるメディア放送ではNGワードがあっても、生の舞台では表現芸術として許される(時代背景や作者の使用意図への考慮などから)雰囲気があって、こういう張り紙をみることがなかったのですが、、それでも原作の価値を守り、変更しないのが演劇の素敵な部分だと個人的には思っています。
終演後には出演者によるアフタートークもありました。
奇妙でありながらも美しい世界、是非機会がありましたら、三島由紀夫さんの小説「命売ります」手にとっていただけたらと思います。